猫田のサブカルインフォメーション

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働く本質を教えてくれる「古くてあたらしい仕事」島田潤一郎

人生の大半が仕事です。

1日6~8時間働き、残業をするときもあるでしょう。

こういった生活を何十年も繰り返すことを考えると、いかに仕事を楽しめるかが重要かわかります。

かと言って、自分が楽しめる仕事を考えてみたとき「わからない」という人も多いのではないでしょうか?

そんな人に読んでもらいたいのが「古くてあたらしい仕事」です。

作者の働くことについての考え方がとても勉強になり、読んでいて明るい気持ちになれました。

転職が上手くいかず起業!?

作者は島田潤一郎さん。

「夏葉社(なつはしゃ)」という出版社を設立し、編集、営業、事務などを一人でされています。

起業した理由として二つのことを挙げています。

一つ目が「転職活動がうまくいかなくて、会社をやるしか選択肢がなかった」から。

冒頭でそう書かれていて信じられませんでした。

会社を起こすぐらいの人だからそんな訳ないと。

しかし、読み進めていくと作者の人生は順風満帆でなかったことがわかります。

例えば、

・作家志望で27歳までフリーター

・いくつかの会社に勤めたが続かない

・転職活動は50社連続で不採用

想像と違う作者の人物像に驚きました。

また自身のことをこう分析しています。

「まず何よりも協調性がない。チームを組んで、なにかをやることが苦手。……次に集中力がない。一時間が限界。すぐにネットを見てしまう……最後にぼくにはキャリアも学歴もない……ふつうの大学を出て、二十七歳まで無色だった」

作者のことを知るうちに親近感が沸いてきました(;^ω^)

特に「次に集中力がない。一時間が限界。すぐにネットを見てしまう」の部分は一緒だなと思いました。

こういった感じで作者の飾らない正直な思いが書かれているので、読み進めていて面白く、共感できる部分も多くあります。

人生は長いようで短い

さて、この作者が一体なぜ出版社を起こしたのか?

二つ目の理由は身近な人たちの死だったそうです。

大学の友人は29歳、従兄は32歳、親友は36歳で亡くなり、作者は彼らに思いを馳せながらこう思います。

「いつ死ぬかわからない。明日死んでしまうかもしれない。だから、悔いのないように生きる。……人生は嘆いたり、悲しんでして過ごすには、あまりにも短すぎる」

この言葉にハッとしました。

いつもの日常が当たり前ではない。

そう教えられたような気がしたからです。

私たちの命は限られていて、いつか等しく死を迎えます。

そのとき後悔しないために大切なことは「自分がやりたいことをやりきっている」ということではないかとこの本を読んで思いました。

また、仕事についてこう語っています。

「結局、自分がこれまでやってきた仕事の延長線上にしか、あたらしい仕事はないのだ、と思う。その土台を無視して、まったく違うことを始めたり、あたらしい展開を試みたところで、それはやっぱり、ただの付け刃に過ぎない」

「付け刃」という言葉が刺さります…。

転職活動に苦戦していた作者が今の仕事に出会えたのは本当に自分がやりたいことを本気で考えて、実現するために行動したからだと思います。

転職活動が上手くいかない人、今の仕事でやりがいがもてない人など仕事で悩む人に読んでもらたい本です。